今求められる資格として、メディアでもたびたび取り上げられている「社労士」という資格。
社労士とは社会保険労務士のことで、厚生労働省の管轄の国家資格になります。
社労士の資格って、労働や年金などのサポートをするイメージがざっくりとはあっても、実際どんな仕事をしているのか知らない人も少なくありません。
そこで、社労士になるための資格取得って難しいのか、実際に資格を取れたらどんな仕事をするのかなど調べてまとめてみました。
これから社労士の資格を取ろうと考えている人は、ぜひ参考にしてください。
資格 | 社会保険労務士(社労士) |
---|---|
受験の時期 | 8月の第4日曜日 |
試験日程 | ・選択式試験:10:30〜11:50 ・択一式試験:13:20〜16:50 |
受験資格 | 条件あり ※社労士試験の受験資格として、以下のいずれかが必要です。 ①学歴 |
受験の申し込み期間 | 厚生労働大臣が官報に4月半ばに公示〜5月31日までの期間 |
受験手数料 | 9,000円 |
払込手数料 | 203円 |
主催 | 全国社会保険労務士連合会 |
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社労士ってなに?
社労士(社会保険労務士)とは、企業において社会保険や各種年金、労災保険、労務関係など人材サポートのエキスパートです。
社労士の仕事は、健康保険や介護保険、雇用保険、各種年金などのエキスパートでもあり、私たちの暮らしのサポートをしてくれる国家資格者でもあります。
年金についての講演会などに行くと、社労士の人が講演をしていることがありますが、社労士は私たちの生活にとって身近な保険や年金などの専門家とも言えるでしょう。
社労士の資格をとるとどうなる?
社会保険や各種年金など、私たちの暮らしに欠かせない諸問題の相談ができる社労士ですが、資格を取ると具体的には以下のようなことができるようになります。
- 企業の総務や人事などで、健康保険、年金、労働者保険についてのコンサルタントとして働くことができる
- 顧問先やクライアント先に出向いてコンサルをすることができる
- 独立して個人事業主としてコンサル事業をすることができる
社労士試験に合格すると、企業で働くことはもちろん、独立して一人で仕事している人もいます。
そこで、社労士の主な業務について、じっくり見ていきましょう。
労働社会保険の手続
社労士は、企業においての労働社会保険のあらゆる手続きがスムーズにできるようにサポートしてくれます。
年金相談
社労士の主な仕事の一つである年金相談。
年金制度はどんどん改正されますし、複雑にもなってます。
そんな年金について、誰にでもわかりやすく説明するのも社労士の仕事です。
場合によっては、各種事務手続きのお手伝いもしてくれます。
労務管理の相談や指導
社労士は、労働者が納得してより良い環境で働くことや、労使関係が良好に築かれるために、職場ごとにきめ細かなアドバイスをして企業をサポートします。
紛争解決の手続や代行業務
社労士は、争いごとを裁判という形ではなく、あっせんの手続によって、迅速に解決へと導きだします。
補佐人としてのサポート
社労士は様々な案件の相談に乗ってくれますが、訴訟などに入った場合は、補佐人として訴訟の解決をサポートします。
社労士試験の合格率はどれくらい?
社労士の試験の合格率は、だいたい5%〜9%。2015年の合格率は2.6%と過去最低でした。
その後はだいたい4〜6%あたりで安定しています。
社労士試験は、非常に難易度も高く、受験生の受験回数の平均は4〜5回。
1回で合格せずに、何回もチャレンジしている人が多いんです。
なぜこんなに合格率が低いのかと言うと、出題科目が8科目と多い上に、税理士など他の試験のように科目合格性のシステムもない為、一回の試験で合格しなければならないんです。
だから、必然的に合格率が下がってしまうんです。
社労士になるためには?
社労士として実務に臨むまでには、何段階かのステップがあります。
- 受験資格の有無
- 社労士の試験
- 登録(2年以上の実務勤務)
- 社会保険労務士名簿に登録
社労士は、社労士試験を受けただけでは社労士にはなれません。
社労士試験に合格したあと、実務経験が2年以上か事務指定講習を修了すると、社会保険労務士名簿に名前が乗り、活動できるようになります。
社労士の資格を取るために何を勉強すれば良い?
社労士試験に合格する為には、試験科目についてしっかりテキストを読み込んでおくことです。
そこで、社労士の受験の為に、どんなことを勉強すれば良いのかを詳しくご紹介します。
社労士の試験科目を幅広く勉強する
社労士試験は、範囲が次の8つにパート分けされています。
- 労働基準法及び労働安全衛生法
- 労働者災害保険補償法及び労働保険徴収法
- 雇用保険法
- 健康保険法
- 国民年金法
- 厚生年金保険法
- 労務管理その他の労働に関する一般常識
- 社会保険に関する一般常識
これらをしっかりテキストを読んで理解して、幅広く網羅できるように勉強していきます。
配点などは、次の通りです。
試験科目 | 択一式(合計7科目)(配点) | 選択式(合計8科目)(配点) |
---|---|---|
労働基準法及び労働安全衛生法 | 10問(10点) | 1問(5点) |
労働者災害補償保険法 (労働保険の保険料の徴収等に関する法律を含む。) |
10問(10点) | 1問(5点) |
雇用保険法 (労働保険の保険料の徴収等に関する法律を含む。) |
10問(10点) | 1問(5点) |
労務管理その他の労働に関する一般常識 | 10問(10点) | 1問(5点) |
社会保険に関する一般常識 | 10問(10点) | 1問(5点) |
健康保険法 | 10問(10点) | 1問(5点) |
厚生年金保険法 | 10問(10点) | 1問(5点) |
国民保険法 | 10問(10点) | 1問(5点) |
合計 | 70問(70点) | 8問(40点) |
択一式試験の【労働者災害補償保険法】と【雇用保険法】は、問題10問のうちの3問が【労働保険の保険料の徴収等に関する法律】からの出題になります。
択一式試験の【労働者災害補償保険法】は、問1~問7が【労働者災害補償保険法】、問8~問10が【労働保険の保険料の徴収等に関する法律】です。
【雇用保険法】のカテゴリからは、問1~問7が【雇用保険法】、問8~問10が【労働保険の保険料の徴収等に関する法律】です。
健康保険法は確実に勉強しておくこと
少し前までは、社労士試験の中でも健康保険法は楽勝だと言われていた時期があったのですが、今は難易度もだんだん上がってきています。
範囲は広いのですが、健康保険法の項目もしっかりテキストを読み込んで、問題集もやり込んでおきましょう。
特に、規則・被保険者・保険給付・費用の負担などのキーワードを重点的に勉強していくことをお勧めします。
また、労働者災害補償保険法と並行して勉強していくと、どちらも覚えやすくなります。
点数を稼ぎやすい科目はしっかり押さえる
社労士の試験では、点数を取りやすい科目もあります。
点数を稼ぎやすい科目をしっかり勉強して、点が取りづらいなと感じる部分をカバーしておきましょう。
労働保険徴収法
労働保険の保険料の徴収等に関する法律分野では、出題範囲が狭いのですが問題数は多いので、かなりの高得点を狙うことができます。
また法律分野といえど、法律に対しての深い理解ができていなくても、解法を覚えてしまえばどんどん解くことができます。
労働基準法
社労士試験の中でも労働基準法の分野は、労働カテゴリの基本になる法律なので、かなり深掘りした内容の問題が出されます。
しかし、過去問で出題パターンを確認していくごとに、頻出する問題も見えていきます。
覚える箇所がわかったら確実に暗記をしておくと、問題傾向が違っても法律関係の分野は解きやすくなります。
重要項目をしっかり覚えて、点数を稼いでおきましょう。
国民年金法と厚生年金保険法は量より質!
社労士試験において、国民年金法と厚生年金保険法は、勉強すればするほど腑に落ちていくため、問題もスムーズに解けるようになり、点数が稼げるようになります。
まずはテキストを読み込み、過去問を繰り返して解いておきましょう。
労働者災害補償保険法
社労士試験の中でも、病気や怪我の補償に関係する法律になりますので、社会人にとってはわかりやすい問題パターンでもあります。この分野でしっかり点数を稼いでおきましょう。
毎年同じようなパターンの問題が出されますので、過去問をしっかりやり込んでおくことで解きやすくなります。
雇用保険法
基礎的知識についての問題が多く、択一式の問題なので、やり込んだだけ得点が稼げる分野でもあります。
きちんと解けば満点も余裕で狙えますので、ここでしっかり点を稼いでおきましょう。
社労士の試験に合格するためのポイント
社労士の資格に合格する方法は、とにかく出題範囲をまんべんなく勉強することです。
そのほかにも、社労士の資格に合格するためのポイントがありますので、いくつかご紹介します。
試験前の1ヶ月は全エネルギーを注いで勉強する
社労士の資格試験の前の1ヶ月は、全力を注ぐことができるような環境を作りましょう。
特に社会人の人は、仕事をしているとなかなかゆっくりと時間を確保することが難しいこともあるでしょう。
できれば仕事は休暇を取り、勉強時間にあてましょう。
択一式問題はスピード重視
社労士の試験では、択一式問題はスピード勝負になります。
1科目20分を目安に時間配分していくと、後から時間不足で慌てることなく余裕で解くことができますよ。
選択式問題の対策
社労士の試験の選択式問題は、毎年難問が出ることが恒例になっています。
テキストを読み込んで問題集・過去問をすることも大切なのですが、裏技としてハローワークが持っている問題なども入手しましょう。
社労士の試験勉強に必要なものは?
難関と言われる社労士の資格ですが、合格までの道のりの中で必要なものってなんでしょうか?
そこで、社労士の試験勉強をする際に、必要なものをご紹介します。
参考書と問題集
社労士の資格試験を目指すために必要なものは、参考書と問題集です。
効率良い勉強を進めるためには、試験によく出る項目をしっかり学んでおくことです。
また、社労士試験の参考書の他にも、法改正についての参考書を用意しておくのもちょっとした疑問に役に立ちます。
通信講座で自宅学習
初めて社労士試験を受ける人にとっては、社労士試験の範囲がとてつもなく広く感じると言う人も多いです。
独学で勉強して試験に臨む人は、どこから手をつけていいのかわからなくなってしまいがちです。
そんな時通信講座だったら、テキストや参考書、過去問までも用意されているので、教材選びに苦労することもありません。
また、勉強すべき単元もしっかりチョイスしてくれているので、効率よく勉強することができます。
通信講座のおすすめはフォーサイトです。
毎年多くの社労士試験合格者を出しているフォーサイトは、社会保険労務士講座の累計受講者数は65,696人に上っています。
社労士試験の一般合格率が6%であるのに対して、フォーサイト講座からの受験者の合格率は23.7%と大幅に合格率がアップします。
できるだけ少ない回数で社労士試験に合格したいと思うのであれば、通信講座フォーサイトでの勉強がおすすめです。
- 社労士 資格取得フォーサイト「Foresight」
https://www.foresight.jp/sharoushi/フォーサイトの社労士の通信講座のページには、サンプル教材もあります。
過去問が何年分か入った教材のバリューセットや、e-ラーニングの無料体験学習もあるので、まずはフォーサイトの無料体験を受けてみましょう。
資格取得フォーサイト(Foresight) | 0120-966-833 |
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電話受付時間 | 11:00〜19:00(日・祝・年末年始を除く) |
社労士の試験のスケジュールや費用は?
社労士の試験は、年に1回厚生労働大臣より委託を受けて、全国社会保険労務士連合会が実施しています。
社労士の試験のスケジュールや受験料についてご紹介します。
社労士 試験のスケジュール
社労士試験の期日は、毎年4月末までに官報にて公告され、その後申し込み期間に入ります。
だいたい毎年4月の公告後〜5月末までの間が受験申し込み期間になります。
社労士の試験は、例年8月の第4日曜日に実施されています。
試験の1日の流れは、次のようになっています。
選択式試験 | 10:30〜11:50 |
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択一式試験 | 13:20〜16:50 |
社労士 試験の費用
社労士試験の受験料は、9,000円になります。
(払込手数料が、別途203円かかります)
社労士試験の受験資格について
社労士試験の受験資格は、次のような受験資格が提示されています。
- 短大卒業と同等以上の学歴
- 学歴による受験資格がなくても、一定の実務経験がある
- 行政書士資格を持っている
学歴
学歴については、短大・専門職大学・高等専門学校(5年制)などが挙げられますが、大学の単位を62単位以上持っていれば試験を受けることができます。
また、修業年限が2年以上であり、総授業時間数が1700時間以上の専修学校専門課程を修了者も社労士試験を受けることができます。
実務経験
社労士試験は、大学で62単位以上という学歴がなくても、実務経験が3年以上あれば受験できます。
実務経験の内容は、公務員として3年以上従事していることや、社労士や弁護士の補助として3年以上働いていることや、事業を営む個人として労働社会保険諸法令に関する事務職で3年働いているなどです。
自分の実務経験が社労士の受験資格を満たしているかどうか知りたい人は、全国社会保険労務士会連合会に実務経験など必要事項を記入した証明書をFAX送信すると、受験資格があるかどうかを確認できます。
国家資格の保持者
社労士試験の受験資格として、厚生労働大臣が認めた国家資格の保持者も対象になります。
行政書士試験、弁護士試験、公認会計士試験、不動産鑑定士試験などが対象に当たります。
また、司法試験の第1次試験をクリアしている人も、社労士試験を受けることができます。
高卒で社労士の資格を取ろうと思っている人は、行政書士の資格を取ってから取得するのもおすすめです。
社労士の資格取得を目指そう
難関と言われる社労士試験についてご紹介しました。
社労士試験の合格率は毎年1割以下と少ないのですが、しっかり対策を立てて勉強していくことで、合格を目指すことができます。
社労士試験の合格までの勉強時間は800時間〜1,000時間と言われており、1日2時間勉強して2年かかる計算になります。
社労士は、年金制度や保険制度のスペシャリストでもあるので、各方面からコンサルタントとしての需要も高い職業です。
今の大混乱の世の中で、労働者の雇用問題や補償問題としても社労士は求められる人材になります。
社労士は専門知識を活かしながら、人を助ける魅力的な仕事です。
新しい今後の日本のためにも、コツコツと準備して社労士の資格取得を目指しましょう。