日本では幅広い世代からの需要があるため、マンションは依然増え続けている状態です。
そんな中で注目されているのが、マンション管理士の仕事です。
マンション管理士は、「マンションの数だけ仕事がある」と言われており、企業に入社するのはもちろん、個人事業主として独立開業することも可能な資格になります。
そこで、マンション管理士の資格の難易度や勉強方法、マンション管理士の資格を取るとどうなるのかなどまとめてみたのでご紹介します。
資格 | マンション管理士 |
---|---|
資格区分 | 国家資格(国土交通省管轄) |
受験資格 | 年齢・性別・学歴等一切ない |
試験実施場所 | 札幌市、仙台市、東京都、名古屋市、大阪市、広島市、福岡市、那覇市 その他周辺地域 |
試験内容 | 四肢択一問題のマークシート形式(全50問) |
申し込み期間 | 例年9月初旬〜10月初旬 |
試験日程 | 例年11月 |
合格発表 | 翌年1月 |
受験手数料 | 9,400円 |
主催 | 公益財団法人マンション管理センター |
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マンション管理士ってなに?
マンション管理士は、マンションの維持や管理などのコンサルティングをする仕事です。
名前が似ていますが、マンション管理士とマンションの管理人は、全くの別物です。
マンション管理士はマンションの管理組合が顧客となり、マンションをどのように維持して行くのか、どのように管理して行くのかなどについてアドバイスをするのが主な業務になります。
マンション管理士を資格とるとどうなる?
マンション管理士の資格を取ることで、マンション管理に関して法律や、建物の保全について、修理についてなどマンションの維持や管理についての知識が豊富であると認めてもらえます。
それでは、マンション管理士の具体的な仕事内容について見ていきましょう。
マンション管理組合の運営と会計の管理
マンション管理士の主な仕事として、マンション管理組合の運営のサポートがあります。
マンションの管理組合は、分譲マンションを購入した区分所有者たちが加入している組織になります。
マンションは、マンションの管理組合を設置することが法律で義務付けられていますので、区分所有者は全員加入することになります。
しかし、管理組合に入る人たちは、マンション管理や組合の運営についての知識はありませんので、管理組合を運営するためにマンション管理士の存在が必要になるわけです。
マンション管理士は、マンションの管理組合を運営するとともに、マンションの管理組合の総会や、理事会を運営することなどを実施します。
また、管理組合に加入している人たちから管理費や修繕積立金を集めることや、管理費等の会計監査することなどもマンション管理士の仕事になります。
さらに、管理コストの見直しや削減を行うなど、マンションの管理組合に総合的に関わりながら仕事をすることになります。
マンション管理会社の監督業務
マンションの管理会社の監督をするのも、マンション管理士の仕事です。
マンションの管理会社は全国で2,400社あると言われていますが、ずさんなマンション管理をしている管理会社が数多くあるのも事実です。
マンション管理士は、マンションの区分所有者とマンション管理会社の間に入り、管理会社がきちんとした対応をしているかなど監督をする役割もあります。
マンションの管理規約の作成
分譲マンションでは様々な人が一緒に暮らしているので、住民同士が快適に暮らすことができるように「区分所有法」という法律に基づいて色々なルールが定められています。
このルールが、各マンションの管理規約となるのですが、管理規約を作成するのもマンション管理士の仕事になります。
マンション管理士は、管理規約を作成する際に、知識や経験をもとに相談に乗りながら的確なアドバイスをしていきます。
マンションの管理規約には、マンションの管理組合の運営に必要となる内容が組み込まれます。
具体的には、以下のような内容になります。
- 共有部分の範囲
- 共有部分の使用方法
- 理事会の権限
- 理事会の義務
※マンションの管理規約を定めるときや改正・更新するときには、マンション管理組合の総会において区分所有者、議決権の4分の3以上の決議が必要になります。
マンション建物の修繕工事
マンションは、経年劣化とともに外壁のひび割れや剥がれなどが生じることがあります。
そのため、定期的に大規模な修繕を行っていくのですが、大規模修繕工事を依頼する場合の施工会社を選ぶことなど様々な手続きも実施するのもマンション管理士の仕事です。
マンション管理士は、マンションの大規模修繕に備えて修繕積立費用を取り扱うのも大切な仕事になります。
住民同士のトラブル解決
マンション管理士の大事な仕事として、マンションの住民同士のトラブル解決ということがあります。
マンションの住民同士のトラブル案件で一番多いのは、騒音問題です。
上階の足音、子どもの声、オーディオや楽器の音などの騒音トラブルは、どこのマンションでも上がってくる問題です。
またベランダで喫煙する人が増え、タバコの煙に関する問題や、ペットの鳴き声や粗相の後始末に関しての問題、駐車場のトラブル、ゴミ出しのマナーについてなど、マンションでの共同生活は様々なトラブルが生まれがちです。
人と人が関われば何かしらの問題が出てくる可能性は大きいのですが、トラブルに対していかに解決へ導いていけるのかもマンション管理士の大きな仕事になります。
マンション管理士試験の合格率はどれくらい?
マンション管理士試験の合格率は、次のようになっています。
年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
2017年 | 13,037人 | 1,168人 | 9% |
2018年 | 12,389人 | 975人 | 7.9% |
マンション管理士の資格を取るために何を勉強すれば良い?
マンション管理士の資格を取りたいと思ったとき、何から勉強すれば良いのかわからない人も多いです。
マンション管理士の資格を取るために押さえておきたい勉強内容についてご紹介します。
合格のためには500時間〜700時間の勉強が必要
マンション管理士は、合格率が10%未満と非常に難関の試験になります。
そのため、マンション管理士の資格試験のためには、500〜700時間の勉強が必要だと言われています。
この時間の開きは、試験前の知識量に関係します。
不動産関係に勤務した経験がある人であれば500時間ほどで合格する場合もありますし、知識ゼロの状態から勉強する場合は700時間、それ以上かかる場合もあるでしょう。
600時間の勉強時間の場合は、平日2時間、土日に8時間ずつ勉強すると600時間になるのですが、少し余裕を持って試験に臨みたい場合は、1年間で緩やかに勉強時間を確保することをおすすめします。
マンション管理士試験で押さえておきたい分野
マンション管理士試験では、次の4つの分野を集中して勉強しましょう。
法令関係
マンションの管理をする上でとても重要になる区分所有法は、試験においても大変重要な科目ですので、区分所有法はしっかり熟読しておきましょう。
民法においては範囲が広すぎるというのもありますが、売買の担保責任について、抵当権について、不法行為についてなどをしっかりチェックしておくと良いでしょう。
また、民法と区分所有法の絡みでの出題パターンもあるので、複合パターンの問題もいくつか解いておくことをおすすめします。
管理・運営関係
管理・運営関係では、管理実務と会計が2つの大きな柱になります。
この分野は会計の方が多く出題されますので、簿記の学習経験者はこちらで点数を稼いでおきましょう。
計算や数字が苦手な人は、会計についてしっかり学習しておくことが大切です。
構造・設備関係
例年、マンションの構造や設備の分野の出題数はあまり多くないです。
テキストを読んで過去問をしっかり解いておきましょう。
管理適正化関係
こちらの管理適正化関係も、全体の1割程度しか出題されない傾向にあります。
しかし、マンション管理士の実務がスタートすると関係してくる分野になりますので、しっかり勉強しておくと役立ちます。
マンション管理士に合格するためのポイント
マンション管理士に合格するためには、500〜700時間ほどの勉強時間が必要だと言われていますが、効率の良い勉強をすることで勉強時間を短縮させることも可能です。
そこで、マンション管理士に合格するためのポイントについてご紹介します。
インプット→アウトプットのサイクル
マンション管理士の勉強をする際は、テキストを読み込んで新しい情報を得るインプットと、知識をアウトプットするために問題を解くというサイクルを効率よくやることが合格のカギです。
- テキストを読み込んでその都度問題を解いていく方法
1日の中で、テキストを読み込み問題集で解きながら確認するというパターンになります。 - テキストをまとめて読み込み、インプットが終わった後で問題を解いていく方法
1ヶ月単位などでテキストを読み込み、次にアウトプットするという方法は、脳が「忘れないように思い出そう」という意識になりやすいため、効率よく覚えることができます。
おすすめは②なのですが、自分にとって合う勉強方法でするのが一番ですので、どちらが自分に合うかを確かめながら勉強していくと良いでしょう。
勉強の時間配分に気をつける
マンション管理士の試験勉強をするときは、勉強を1期〜3期の3つの時期に分けて考えてましょう。
まず最初の1期は、テキストなどをしっかり読み込む基礎学習期間、次の2期は予想問題をしっかり解く応用期間、ラスト2ヶ月ほどの3期は直前学習として全ての復習と過去問を繰り返し解くようにしましょう。
苦手分野は、このラストの3期に集中して取り組み、苦手分野がなくなるようにクリアしていきましょう。
また、このラスト2ヶ月で暗記できていなかった部分の暗記を再度確認していくと、2期までに理解度が高まっているため、スムーズに暗記することができます。
マンション管理士の勉強に必要なものは?
マンション管理士を受けよう!と思ったら、独学でいいのか?通学講座に通ったらいいのか?津新講座でも良いのか?など、学習方法についても迷ってしまいます。
しかし、何はともあれマンショの管理士の受験で必要になってくるものもあります。
まずは、マンション管理士を受けるようになった時に、まず揃えたいものからご紹介します。
参考書(テキスト)と問題集
マンション管理士の資格を取るためには、まずは教材選びをすることになります。
受験するにあたって、教材選びは非常に大事なんです。
まずは、基本となる参考書(テキスト)・問題集・過去問題集・そして学習の補佐としての六法があると良いでしょう。
参考書(テキスト)
テキストを選ぶときは、自分にとってわかりやすいものを選ぶようにしましょう。
カラーで図表やイラストを多数使っており、視覚的にわかりやすいものを選ぶのがおすすめです。
また、マンション管理士の試験は法律関係などもたくさん出てきます。
ですから、法改正のたびに問題が変わることもありますので、テキストは最新年度のものを購入するようにしましょう。
問題集
問題集を選ぶときは、予想問題集と過去問がたくさん載っているものを選びましょう。
テキストでインプットした内容を過去問でアウトプットするため、過去問は何度も解いておくことをおすすめします。
また、マンション管理士の試験は比較的新しい試験ですので、過去問の数も少ないです。
そのため、予想問題が充実している予想問題集を単体で用意するのもおすすめです。
六法
六法は必ずしも必要なものではないのですが、六法があるとテキストと照らし合わせて確認することができます。
また、間違えた問題の復習をする際にも、法律関係であれば六法を参照するとより頭に入りやすくなります。
ただし、六法を選ぶときは司法試験用など通常の六法ではなく、マンション管理士試験用の六法を選ぶようにしましょう。
通信講座で自宅学習
マンション管理士の試験に合格することを目指しているのであれば、通信講座で自宅学習をするのがおすすめです。
独学は厳しい?!
マンション管理士の試験を受けるにあたって、完全に独学だと厳しい部分もあります。
なぜならマンション管理士の合格率は10%未満なのですが、一般的な資格試験を見ても独学の合格率はそこからさらに下がることが多いからです。
独学の場合は、好きな教材で好きなタイミングで勉強できるというメリットがありますが、このメリットはデメリットになってしまう可能性も高いです。
好きな教材を選ぶことができると言っても、知識がなければ質の良い教材を選ぶことはできませんし、好きなタイミングで勉強できると言っても怠け癖がある人であれば勉強を先延ばしにしてしまう可能性大でしょう。
ですから、通学講座や通信講座で学んでからマンション管理士の試験にのぞむ人が多いんです。
通学講座は費用がネックに
マンション管理士の試験対策で、通学講座に通う人もいますが、通学講座のデメリットは費用の高さでしょう。
学校によってバラツキはありますが、多くの場合は10万円前後となることが多く、まとまったお金が出て言ってしまうという不満はあります。
通信講座
マンション管理士の勉強は、通信講座がとてもおすすめです。
中でも、数々の合格者を送り出している通信講座のフォーサイトは、独自のテキストが非常にわかりやすく、学習DVDに関してはプロのカメラマンが撮影するなど、かなり教材を作り込んでいます。
また、フォーサイトの受講者は試験合格率が高いのも有名です。
マンション管理士試験の一般合格率が10%未満であるのに対して、フォーサイト講座からの受験者の合格率は23.5%と2.8倍ほど合格率がアップします。
できるだけ少ない回数でマンション管理士の試験に合格したいと思うのであれば、通信講座フォーサイトで効率よく勉強するのもおすすめです。
- マンション管理士 資格取得フォーサイト「Foresight」
https://www.foresight.jp/mankan/フォーサイトのマンション管理士講座のページには、サンプル教材もあります。
過去問が入った教材のバリューセットや、オンライン学習システムであるe-ラーニングの無料体験学習もあるので、まずはフォーサイトにて無料体験を受けてみましょう。
資格取得フォーサイト(Foresight) | 0120-966-833 |
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電話受付時間 | 11:00〜19:00(日・祝・年末年始を除く) |
マンション管理士の試験のスケジュールや費用は?
マンション管理士は2001年にスタートした国家資格で、比較的新しい資格になります。
第1回の試験の時から難易度が高く、一番高い合格率の時で9.3%とかなりの難関であることがわかります。
そこで、マンション管理士の試験についてのスケジュールや費用についてご紹介します。
マンション管理士試験のスケジュール
マンション管理士の試験は、例年11月の最終日曜日に開催されています。
受験案内や申込書は、その年の8月1日から10月2日までの間に配布されることになります。
受験の申し込みは9月3日から10月2日までの間になります。
配布場所は、8月1日に公益財団法人マンション管理センターのホームページで発表されますが、例年、指定された都市のマンション管理行政窓口、マンション管理センター本部や支部、一部の書店などになっています。
また、郵送か公益財団法人マンション管理センターのホームページから受験案内と申込書のダウンロードをすることができます。
- 公益財団法人マンション管理センター
マンション管理士試験の費用
マンション管理士試験の受験料は、9,400円です。
払込用紙は、公益財団法人のマンション管理センターのページからダウンロードできます。
受験の願書を提出する前に、受験料を支払うことを忘れないようにしましょう。
マンション管理士試験の会場について
マンション管理士試験は、全国8つの試験地、12会場で実施されます。
以下、開催場所の詳細になります。
- 札幌市(1)
- 仙台市(1)
- 東京都(4)
- 名古屋市(1)
- 大阪市(2)
- 広島市(1)
- 那覇市(1)
- 及びこれらの周辺地域
願書を申し込んだ際に、マンション管理センターが受講生の申し込み状況など考慮しつつ、具体的な会場はどこかを割り振っていき、受験票に記されるようになっています。
合格発表とその後
マンション管理士試験の合格発表は、翌年の1月になります。
合否発表は受験生全員に郵送で届きますが、合格者は通知書に入っている説明書をもとに、マンション管理士として登録をしましょう。
登録手続きには1ヶ月ほどかかりますので、合格通知が届いたらすぐに登録しておきましょう。
また、マンション管理士は法定講習が5年ごとにありますので、忘れずに受講しましょう。
講習を受けていない場合は、資格を取り消されてしまうこともあります。
マンション管理士取得を目指そう
マンション管理士についての仕事や、資格取得するための概要についてご紹介しました。
マンション管理士の資格は、マンションが存在する限りなくならない仕事です。
マンション管理を通して人と人のつながりや信頼度を高めることができるマンション管理士は、非常にやりがいのある仕事です。
マンション管理士の合格率は低めですが、コツコツと効率よく勉強することで一発合格も可能です。
効率よく勉強するために通信講座なども活用するなど、自分に合う勉強方法を見つけて、マンション管理士合格を目指しましょう。