通関士の資格ってどうやって取れば良い?取るとどうなる?勉強方法などもまとめてみた

通関士の資格ってどうやって取れば良い?取るとどうなる?勉強方法などもまとめてみた

今注目されている職業である通関士は、物を輸出したり輸入したりするときに、税関で必要な手続きを代行する仕事です。

憧れの貿易業界で仕事をすることができる通関士試験は、貿易業界では唯一の国家資格です。

輸出や輸入のプロフェッショナルである通関士は、通関士試験をクリアした人だけが就ける仕事です。

通関士はいつの時代も通して需要があるため人気も高く、毎年7,000人以上の人が通関士試験を受けています。

そこで、通関士になるための通関士試験って難しいのか?また、合格するためにはどんな勉強をすれば良いのかなど調べてまとめてみました。

この在宅の時期こそ、資格取得のチャンスです。資格取得を目指す人は、ぜひ参考にして下さい。

資格名称 通関士(財務省が管轄の国家資格)
試験場所 主要都市13箇所
試験日 例年10月の第一日曜日
受験資格 不問(年齢・学歴・性別・経歴・国籍不問)
受験料 3,000円
試験内容と時間 ・通関業法:9:30~10 :20
・関税法、関税定率法その他関税に関する法律及び外国為替及び外国貿易法(同法第6章に係る部分に限る):11:00~12:40
・通関書類の作成要領その他通関手続の実務:13:50~15 :30
合格基準 試験後に発表。例年60%以上であることが多い

通関士ってなに?

通関士は、輸出入に関する仕事で、財務省管轄の国家資格です。

通関士は輸出業者に変わって通関のための書類を作ったり通関手続きをとったりと、輸出入にまつわる代行業務をしています。

通関手続きですることは、国をまたいで売買がなされる場合、売買の対象となる商品の輸出手続きをして輸出入の許可を得ることで、一般的には税関手続きと呼ばれています。

通関士はコミュニケーション力も必要

通関士は、お客様から預かった荷物の品目番号と税率を決めて税関に申告をします。過去の事例などを参考にしながら税関職員と直接交渉して、お客様にかかる税率ができるだけ安くなるように働きかけるという役割があります。

税関職員は関税を支払ってもらいたいという思いがありますが、お客様は節税したいという思いがあります。この間をうまくとりもつのも、通関士の仕事であり、コミュニケーション能力も必要になってきます。

また、通関士は英語を使ってコミュニケーションをとるシーンもありますが、英語力がかなり必要というわけでもありません。

でも、英語が好きな人であればさらに向いている仕事でもあるので、とてもやりがいを感じますよ。

トラブルにも対応

税関からなかなか輸出の許可が下りない場合は、税関で商品がストップしてしまう場合もあります。

このようなトラブルが起きてしまった場合も、直接交渉をするのも通関士の役割です。

ですから、申告書類をできるだけ早く正確に書き、スムーズに通関の手続きがなされるよう手続きをするのも通関士の大切な役割です。

通関士試験合格後→通関業者で仕事→財務大臣の確認→通関士

通関士試験に受かったらすぐに通関士になれるわけではないのです。

通関士になるためのステップを紹介します。

  1. 通関士試験に合格する
  2. 通関業者で通関業務の仕事をする
  3. 勤務先である通関業者に申請をしてもらう
  4. 財務大臣の確認を受ける

これでようやく通関士として名乗ることができます。

通関士試験に合格さえしていれば、合格資格に期限もなく資格は一生涯有効です。

また、通関業者で働きながら通関士試験を受ける人も多いです。

通関業者である程度働いた期間があると、通関士試験で免除される項目もありますので、通関業者で働きながら通関士の勉強をするのもおすすめです。

通関士をとるとどうなる?

財務省管轄の国家資格である通関士試験ですが、上記のように通関書類の審査、通関書類への記名・押印という仕事もあることから、国際物流の現場で働く人にとっては憧れの職業でもあります。

そこで、通関士を取るとどんなことがあるのでしょうか?

今後の社会で通関士の需要が高まる

日本の貿易額は、世界的にもかなり高い水準であり、2020年以降はさらに広域な経済圏の構築が始まり、国際物流はますます活性化されていくと考えられます。

本来通関業をしている企業は、最低1人通関士を在籍させなければならないという決まりがあるため、これから通関士の需要は高まっていくでしょう。

就職活動・転職活動に有利

通関士は貿易業界では唯一の国家資格であるため、流通業や商社などの就職にも強みポイントとなる可能性は高いです。

通関士の資格は実務経験など問われないため、貿易関係に就職希望している大学生も通関士の資格にチャレンジする人が多くなりました。

高齢化社会の影響もあり、通関士も高齢化しています。ですから、若い人材を求められている職種だとも言えるでしょう。

在宅ワークができる

通関士の仕事は、基本パソコンでするデスクワークが多いです。

そのため、2017年の法改正で通関士の在宅ワークが認められました。

通関士の在宅ワークは、まだ一部にしか浸透していないのですが、コロナ騒動以降は在宅ワークが推奨されるようになったため、今後在宅ワークをする通関士も増えてくるでしょう。

在宅ワークが可能であれば、子育てしている女性の社会参加もしやすくなるため、女性の通関士も増えることが予測されます。

通関士の合格率はどれくらい?

通関手続きをスムーズにこなす通関士を目指すためには、まず通関士試験をクリアしなければなりません。

通関士試験の合格率は、だいたい10%〜15%となっています。

通関士試験の受験者数は、だいたい6,500人、合格率は10%を切った年もあれば21%を超えた年もあり、試験の難易度によって合格率も変動しますが、平均して10%〜15%くらいです。

また、2019年の通関士試験では、以下の試験科目ごとに合格水準である60%に達していなければならず、合格率も下がっています。

  • 通関業法:45点中27点以上(60%以上)
  • 関税法等:60点中36点以上(60%以上)
  • 通関実務:45点中27点以上(60%以上)

通関士を取るために何を勉強すれば良い?

通関士試験を受けようと思ったけれど、いざ勉強しようとなるとどの分野からやって良いのか、どこに力を注げば良いのかわからない…という人も少なくありません。

そこで、通関士試験をクリアするためには、何を勉強すれば良いのかをご紹介します。

通関業法

通関士試験の試験科目のうち、通関業法の難易度は普通程度。要点を暗記することで得点につながります。

項目 概要
通関業法 合計45点(20問)
(選択式35点10問、択一式10点10問)
出題範囲 ・検査の通知
・調査の申出
・通関業の許可
・営業所の新設
・通関士の確認
・通関書類の審査
・通関業の許可の消滅
・通関業の許可の申請
・通関業の許可の基準
・通関業者の欠格事由
・通関士の資格の喪失
・通関業の許可の取消し
・処分の手続き、罰則規定
・通関士に対する懲戒処分
・更生に関する意見の聴取
・通関業の営業区域の制限
・通関業務の範囲と関連業務
・許可事項等の変更等の届出
・通関業者、通関士等の義務
・通関業者に対する監督処分

関税法など

通関士試験の試験科目のうち、関税法等の難易度は普通程度。この科目も要点を暗記することで得点につながります。

項目 概要
関税法 合計60点(30問)
(選択式45点15問、択一式15点15問)
出題範囲 ・検査の通知
・定義
・通関手続
・ATA特例法
・関税定率法
・NACCS特例法
・関税暫定措置法
・コンテナー特例法
・通関前の税関手続き
・外国為替及び外国貿易法

通関実務

通関士試験の試験科目のうち、通関実務だけはかなり難易度が高いです。

通関士試験での通関実務は、作成要領や通関手続きの実務がメインとなるので、時間をかなりかけた方が良いでしょう。

項目 概要
関税法 合計45点(17問)
(選択式20点2問、択一式25点15問)
出題範囲 ・検査の通知
・輸出申告
・計算問題
・輸入(納税)申告
・輸入科目の品目分類

通関士に合格するためのポイント

通関士試験に合格するためには、ただ手当たり次第に勉強していても合格までの道のりは遠いです。

通関士試験の情報量は膨大ですので、的を絞りながら勉強していくことが大切になります。

そこで、通関士試験に向けての重要ポイントをご紹介します。

勉強する順番が大切

通関士試験の勉強をするときは、勉強する順番も大切になります。

上記の出題範囲を見てみると、出題範囲が多い通関業法から勉強しなくては間に合わないかも…と焦ってしまいがちです。

でも、通関業法は知識をそのまま丸暗記して試験にのぞめば対応できる科目でもあります。

関税法も通関業法と同様、丸暗記で対応できる科目です。

そのため、暗記しながら関税法と通関業法の知識をインプットしていきましょう。

残った通関実務においては、かなり難題が多いため繰り返し問題を解くことが合格への鍵になります。

通関士試験の勉強する際は、関税法:通関業法:通関実務=1:1:3の時間配分で進めていきましょう。

大まかな流れとしては、次のような勉強スケジュールを立てましょう。

  1. テキストを読み込んで必要事項を暗記
  2. 演習や問題集をする
  3. 過去問を解く
  4. 模擬試験
  5. 総復習をする

とにかくテキストを覚えるまで読み込むことは大切です。

通関士のための知識がある程度頭に入ってから、問題集や過去問を解くようにすると、確実に力がついていきます。

法律関係は丸暗記がおすすめ!

通関士として働くときは、法律の知識が必要になります。

ですから、通関士試験でも法律関係の記事は当然出題されます。

しかし、普段は馴染みの少ない法律についての用語を知識として頭に入れるためには、まずテキストを読んで重要な部分の法律を丸暗記していきましょう。

通関士の勉強に必要なものは?

難関と言われる通関士試験の勉強をしようと思ったら、準備するものがいくつかあります。

そこで、通関士の試験を受ける人が揃えておきたい準備物についてご紹介します。

参考書と問題集とレジュメ集

通関士試験を受けるのであれば、まずは基本テキストとなる参考書、問題集、レジュメ集を用意しましょう。

参考書(テキスト)

参考書は、通関士試験に合格するために必要な単語や定義がきちんとまとめられているものを選びましょう。

レジュメ集

レジュメ集は、参考書から重要な箇所を抜き出したものですので、最終段階での勉強におすすめです。

問題集

問題集は、ページ数がありボリュームのあるものを選びましょう。

テーマ別に問題が分かれているものであれば、計画立てて勉強しやすくなるのでおすすめです。

通信講座で自宅学習

通関士試験を受けるにあたって、独学で勉強する方法と通信講座などで勉強する方法があります。

通関士試験は難易度が高いため、独学で勉強するとなると最低でも1年は準備期間をかけることをおすすめします。

さらに、的を射た勉強方法をするのであれば、より良い教材や問題集を探すことも大切になります。

独学の場合は、この教材探しにかなりのエネルギーを使ってしまうため、時間を大幅にロスしてしまうことになるのです。

しかし、通信講座で勉強するのであれば、最初から試験に出やすいポイントをまとめてくれているので効率よく試験勉強をすることができます。

働きながら通関士試験を受ける人や、家事や育児で忙しい人は、勉強する時間を確保することも大事です。

仕事をしながらでも通関士試験をクリアできるように、時短プログラムで勉強することができます。

フォーサイトの通関士試験講座の場合、テキスト・DVD講座・問題集と揃っているため、視覚的にもわかりやすく勉強を進めていくことができます。

教材を最大限に活用することも、通関士に合格するための一歩になるための大きな一歩になりますよ。

  • 通関士通信講座 資格取得フォーサイト Foresight
    https://www.foresight.jp/tsukanshi/

    フォーサイトの通関士通信講座のページにはサンプル教材もあります。

    e-ラーニングの無料体験学習もあるので、まずはフォーサイトの無料体験を受けてみましょう。

資格取得フォーサイト(Foresight) 0120-966-833
電話受付時間 11:00〜19:00(日・祝・年末年始を除く)

通関士の試験のスケジュールや費用は?

通関士試験について、試験のスケジュールや受験費用についてご紹介します。

通関士試験は年に1回、毎年10月の第1日曜日に実施されることが多いです。

通関士試験の正確なスケジュールは、例年7月上旬に官報にて広告が載りますので、チェックしておきましょう。

願書の受付

願書の受付は、書面での申請の場合とNACCS(税関手続き申請システム)での申請の2通りあります。

書面申請の場合

願書の配布は、例年7月上旬〜8月上旬で、願書の受付は土日を除く7月末〜2週間、受付時間は午前10時から午後5時までとなっています。

※郵送の場合は、受付締め切り日の消印有効になります。

NACCS申請の場合

NACCSでの申請の場合も、願書の受付は願書の受付は土日を除く7月末〜2週間、受付時間は午前10時から午後5時までとなっています。

受験願書をNACCSで申請する場合は、願書の受付期間と時間内に受験手数料を電子納付します。

受験手数料が納付されるまでは、受理も保留になります。

NACCSの利用申込み手続や、NACCSについての使用方法などは、NACCSセンター(輸出入・港湾関連情報処理センター株式会社)のホームページをチェックして下さい。

NACCSセンター:http://www.naccs.jp/

通関士試験のスケジュール

通関士試験当日のスケジュールを、2019年の流れとともにご紹介します。

通関業法 9:30~10:20 (50分)
関税法等 11:00~12:40 (100分)
通関実務 13:50~15:30 (100分)

お昼を挟んで午前午後と実施される試験になりますので、軽食や飲み物を持っていきましょう。

試験は9:30から開始されますが、試験開始の30分前の9:00には受験会場に集合します。

免除なく3科目全て受験する人の場合、模試などで本番さながらのスケジュールを体験しておくことをお勧めします。

通関士試験当日の持ち物

  • 受験票
  • 筆記用具
  • 電卓 ※通関実務の試験時間のみ使用
  • 時計 ※通信機能・計算機能がないもの

試験中に、机の上に置けるものは限られています。

筆記用具は、HB又はBの黒鉛筆またはシャープペンシルであればOKです。

そのほかには、プラスチック製消しゴム、色鉛筆、蛍光ペン、色付きペン、定規などは持って行っても大丈夫です。

試験前の勉強の際にも、通関実務申告書問題をする際は、輸出統計品目表・実行関税率表のチェックするために、受験当日と同じ用具を使って勉強しておくと当日慌てずにすみますよ。

通関士試験の合格者発表

通関士試験の合格発表は、税関ホームページでも受験番号で発表されるとともに、11月下旬〜12月上旬に官報に名前が掲載されます。

また、合格者には、受験地管轄の税関より通関士試験合格通知書が送られてきます。

試験の費用

通関士試験の受験料は3,000円です。受験料は収入印紙で支払うようになります。

現金や切手、収入証紙では受け付けてもらえませんので注意しましょう。

受験料は締め切り期日ギリギリではなく、時間に余裕を持って振り込みしましょう。

通関士取得を目指そう

輸出や輸入のプロフェッショナルである通関士になるための通関士試験についてご紹介しました。

通関士は、財務省管轄の国家資格で貿易業界で唯一の国家資格になるため、とても人気が高い資格です。

他の資格と比べても通関士の資格取得は、かなり難易度が高いのですが、今後は在宅勤務のスタイルで働く通関士が増える可能性があるため、人気はさらに高まりそうです。

全くの初心者が通関士試験を受ける場合、勉強時間は450時間〜500時間はかかりますので、最低でも半年は受験勉強に充てられるように時間を見ておくと良いです。

通関士を目指すのであれば、毎日少しでもいいので勉強を継続して10月の試験に備えていきましょう。

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